北陸 | 178 | 笈ヶ岳 | おいづるがたけ | 1,841m | 2009 平成21年5月10日(日) | 単独 | 標高差 約1,230m |
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178.笈ヶ岳 標高=1,841m 笈ヶ岳登山口=610m 標高差≒1,230m
【笈ヶ岳】(おいづるがたけ)
・ 石川県、富山県、岐阜県の3県にまたがる標高1,841mの山。両白山地の白山火山脈の北側に属する。
・ 修験道の山として、泰澄上人が開いた。古くは、加賀で「笈釣山」、飛騨では「笈摺」と書いたと記録が残っている。
・ 藪山で夏の登頂は極めて困難で、積雪期の限られた期間のみ登頂が可能。
・ 残念ながら登山道がなく残雪期(4月下旬〜5月中旬)しか登頂が出来ない。G.Wが一般的な登山期。
・ 年によって5月上旬でも残雪が少なく、一部藪漕ぎを強いられる場合がある。
・ 笈ヶ岳は深田久弥も百名山に入れたかった(未登頂の為)と言うだけあって、白山の北方稜線の山々の中でもでもひときわ目立つ山。
・ 北部白山の盟主。
《登山のメインコース》
@ 中宮発電所からのアプローチ、貯水池登り口〜ぶなお山〜冬瓜平(野営)〜笈ヶ岳
A 中宮展示館(自然観察館)〜遊歩道〜ジライ谷左岸:支尾根〜稜線〜冬瓜平〜笈ヶ岳
・ 以前は中宮温泉からのルートでも山中一泊だったようですが、最近はA中宮側のジライ谷からの日帰りコース(歩行時間は約11〜12時間程度)が有名になり主流になり始めたようです。
【山名の由来】
@ 仏具などを入れる箱である笈を背負って登る山。
A 背負った修験者の姿に似た山容。 (〜フリー事典等より)
行程 | 2009(平成21年)5月10日(日) 晴 | 往複路 : マイカー | マイカー: ≫ 徒歩: → | 単独(伴歩) |
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@ | 練馬IC 4:30 ≫ 富山IC 9:30 ≫ 尖山 山頂 ≫ 砺波チューリップ公園 ≫ 金沢兼六園、歴史博物館 ≫ 中宮温泉 泊 |
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A | 中宮温泉 4:30 ≫ 4:33 自然保護センター 4:50 → 1,271mP 6:40 → 8:05 冬瓜山 → シリタカ山 8:50 → 10:45 笈ヶ岳 山頂 10:00 → シリタカ山 12:15 → 冬瓜山 12:50 → 1,271m P → 15:45 自然保護センター ≫ 富山IC ≫ 諏訪SA、双葉SA | |||
B | 双葉SA 3:00 ≫ 4:10 河口湖IC ≫忍野 (パール富士撮影) ≫ 河口湖IC 5:55 ≫ 調布IC 7:30 |
【コメント】
・ 往復を高速料金特別割引制度を活用して笈ヶ岳登山を計画、最適シーズンのGW中に行く予定でしたが用事や天候の関係で、終盤の5月10日(日)の登山になりました。
・ 前日の土曜日早朝自宅を出発、練馬ICから富山まで401km6,800円のところを、練馬→東松山の近郊区間500円+1,000円の合計1,500円(軽)で済みました。
・ 富山にあるピラミッド“尖山”を調査登山後、砺波のチューリップ公園散策、金沢の兼六園、石川県歴史博物館を観光。
・ R157、R360を南下、約40k:1時間半、17時半に到着。途中一里野温泉を通過、大雨時(時間90mmで)ゲートが閉鎖との表示がある個所を通過。
・ 中宮温泉手前で、明日の登山口である、白山自然保護センター中宮展示館の駐車場に入る。展示館を挟んで二つある駐車場の手前側駐車場が登山口で、分り易い野猿公園までの散策路が続いていることを確認する。
・ 洗面、トイレもある駐車場で、両方の駐車場で約30台位駐車可能の広さがあり、全体で2台しか駐車していませんでした。
・ 登山口直近にある中宮温泉のY旅館に宿泊。 宿泊客は9人で全員温泉客。5月6日でシーズン終了、登山客は僅かしかいないようとのこと。
・ 明るくなった4時30分、出発すぐに白山自然保護センターの駐車場に到着。
・ 全体で2台しか駐車していません。準備をしていると一人車から出てきて、これから笈ヶ岳登山するとのことで、単独ではコース確認に時間がかかりそうなので一緒に登山することに投合。
・ 300名山を行っている静岡県のやや年配の方で、同行するに相応しく、難関の笈ヶ岳を単独で登山するより、安全な登山が出来そうでタイミングの良さに感謝の思いをしました。
・ 4時50分、快晴無風の明るくなった朝の歩きやすい遊歩道を歩く。
・ 自然保護センターから先は蛇谷自然公園として整備されており、ルートは快適な水平な散策道となっている。約30分途中小さなトンネル(朝は蛍光灯消灯の為真っ暗、ライトナシでも歩行可能)を2つ抜け、ニリンソウが咲いている遊歩道を散策気分で進み野猿公園に到着、休憩小屋があり一服。
・ この先は未整備、すぐ水量のさほど多くないジライ谷を靴を濡らさずに大岩に飛び移り難なく徒渉。(一時期、板が渡されていたようです)
・ ジライ谷左岸尾根取付に到着。いよいよ道なき笈ヶ岳への登頂が始まる。
・ 渡渉してすぐに新緑の樹林帯へと入り、胸を突くような急登がいきなり始まる。木の根・岩角を掴んで登る。
・ ルートは多くの登山者が入っているので、踏み跡は比較的はっきりついていましたが、ペンキマークはなく赤リボンが僅かしか残っていませんでした。
・ 急登危険箇所にはトラロープやワイヤーが設置されているので、難なく高度を稼ぐ。同行者の早いペースに関心、内心もう少しペースを落としてほしいと思いながら息を弾ませて着いていく。
・ 途中、数匹の猿が歩きやすい進行方向へ逃げて行き、なかなか離れませんでした。
・ 急登が延々と続き尾根に取り付いて約40分、大岩の横を通過し、更に約40分で、1,271mの尾根筋に出ると、白山が後方に樹林の間から望むことが出来ました。
・ 前方に見える冬瓜山への稜線には、雪が殆ど残っていないのが望まれ、写真撮影。
・ ここから次第に不明瞭なルートを二人で確認しながら進む。相変わらずテープはほとんどありませんが、視界が良いのではるか遠方の地形や目印を確認出来迷うことなく順調に進む。
・ 冬瓜平との分岐点をいつのまにか通過(残雪が少なくトラバースルートが灌木の藪になっていたためか?)、そのまま冬瓜山を経由するルートを進む。
・ 約1時間30分後、雪のまったくないゴツゴツとした岩場の斜面を登りきり冬瓜山山頂に到着。
・ 冬瓜山山頂からの展望は素晴らしく、前方に雄大端正な気品のある笈ヶ岳、南方に真白に聳え立つ白山が眺められしばし休憩。 眼下の冬瓜平にテントが一つありました。
・ 山頂の有名な危険箇所には雪が全くなかったため、(4月29日にはまだ雪がへばり付いていたようでした。)全く危険を感じずキレット状のナイフリッジ10m区間を素早く通り抜けました。戸隠の“蟻ノ戸渡り”より数段安全でした。
・ 一服後、シリタカ山を目指しますが、同伴者がガス欠状態で次第にスローペースになりました。
・ 一旦岩場と残雪のあるルートとなる冬瓜山斜面を下る。岩峰の東面を巻き、雪斜面を下り、シリタカ山への斜面を登っていく。
・ 途中、残雪が多くなりましたが、トレースははっきり付いており、トレースを外れても雪がよく締まっており靴はほとんど潜らず最後まで靴の中に雪は入らずに済みました。
・ 残雪はザラ目雪でよく締まっておりツボ足跡などをトレース、最後まで軽アイゼンとストックを使用せず、問題なく済みました。
・ 鞍部からまた緩やかな登りでシリタカ山に向かう。
・ 残雪と藪漕ぎの繰り返しで進むとやがて広々とした樹木の全くない展望抜群の雪原状のシリタカ山山頂に到着。
・ 南方には白山をはじめ、御岳、乗鞍、北アルプスの山々全てを見渡せる。
・ 一服後、目の前の笈ヶ岳目指して出発。 シリタカ山のピークから一旦鞍部へと高度を一気に下げる。
・ 次の目標となる県境尾根との鞍部へは100m以上下り、またかなりの登り返しも急坂に見えました。
・ ピラミダル風の小笈ヶ岳の左側にズングリした岩場の笈ヶ岳を見ながら進む。
・ シリタカ山から北東コルまでの下りはやぶこぎと残雪歩行を繰り返す。
・ 岩壁下から左へとやぶこぎトラバースをして、北面の残雪斜面に出る。
・ 途中今日初めて、登頂を済ませたテント拍の単独登山者と、5人グループにも会う。
・ 強烈な太陽光線でカキ氷のような雪質になった足元をキックしながら登り降りする。
・ 鞍部から山頂まで、数ヶ所あった藪を通るアップダウンを繰り返し進む。
・ 仙人窟・三方岩岳方面からの稜線と出合い、大展望が得られ、ようやくここから先は快適な残雪ルートとなった。
・ 小笈ヶ岳を越え、短いヤブのトンネルを抜けると雪のない笈ヶ岳の山頂に到着。
・ 山頂は10畳くらいの広さで狭い。我々以外はるか遠方まで誰もいない笈ヶ岳山域、記念撮影後、標識と三等三角点に触れる。
・ 三角点の脇にステンレス製のカップがあり、石が被せてある蓋を開けると、中にノートがありましたが、雨水で濡れた後乾いた状態で固形化しページを開けません。
・ 山頂は、無風快晴で暑いくらいの状態で、周囲には低木類しかないので、素晴らしいパノラマを満喫。 南方の白山、北方の大笠山が間近に迫る。
・ 下山も何回か登り返しがあり、藪漕ぎや残雪歩きもあるので、水分と行動食を補充する。相方は食欲なく休憩。
・ 下山は冬瓜平へのトラバースルートを予定しましたが、分岐が分からず、結局往路を忠実に戻ることになりました。(残雪が少ない場合は尾根ルートの方が楽なようです)
・ シリタカ山で小休止して、冬瓜山で最後の笈ヶ岳の眺望をしっかりと目に焼き付けて下山。
・ 下山時も相方共に軽アイゼンとストックを使用せず、問題なく済みました。ただ残雪が緩んで踏み抜き易い部分があり、また数ヶ所埋もれたネマガリダケなどの上を踏んで通り過ぎた時直後、枝が勢いよく跳ねあがりました。
・ 支尾根を下りながら途中でカタクリやイワウチワの群落に出会い楽しませてくれました。
・ 下山するにつれ、次第に尾根の新緑が鮮やかになっていくなか、コブシに似た大きな広い花弁の“タムシバ”が目に付きました。
・ 往路と違って周囲に咲く花をゆっくり鑑賞しながらの下山となりました。
・ 下山するにつれカタクリの開花が終わって、大きな実を付けたカタクリを見つけ写真に撮る。
・ ジライ谷への下りのルートは急でしたが、同伴者がスローペースのため膝に負担がかからなった。
・ 好天の帰路のジライ谷左岸尾根は、眩しいばかりの新緑の世界で、新鮮なフィトンジッドを体いっぱい吸収できました。
・ 野猿公園の屋根が見え、登山もほぼ終了。 下山時のジライ谷は朝より多少水量が増えた感じがしましたが、靴を濡らさずに難なく徒渉。
・ 最後に遊歩道を歩いて駐車場に到着。
・ 当初本来なら一里野温泉の露天風呂に入り、金沢で宿泊する計画でしたが、明日も晴天の天気予報になったので、“パール富士”撮影をするため、河口湖へ向けて出発。
・ 休日特別割引で河口湖まで、1,000円で行けました。途中双葉SAで車中泊をし、早朝忍野で富士山に掛った満月の撮影ができました。
* 危険箇所・注意点
・ 残雪が残っている場合の冬瓜山山頂のナイフリッジ箇所は慎重に。回避したい場合は最初から冬瓜平コースへ。
・ 増水時のジライ谷徒渉。
・ 残雪が緩んで踏み抜き易い部分。
・ 晴天時以外、特に視界不良時は、踏み跡も不鮮明な個所が多く、登山道がないため登山は延期することを強く推奨します。
・ 残雪の踏み跡も雨天後は不鮮明勝ちで、テープ等の目印が非常に少なかったので、テープを持参し、不明瞭な個所には往路で付けることを勧めます。
・ 広い残雪場所は目印を付けないと帰りの時に迷いやすい。
・ 5月中旬以降は残雪が減り、藪の範囲が急速に増加、歩行困難な状況になる。
・ 行程が長いので、明るくなった4時半〜5時頃までには出発すること。明るくなる4時15分頃以降の出発が良い。
・ 水場がないので1.5リットル程度持参のこと。
・ 残雪の状態によりアイゼン、ストック、ピッケルを使用する必要がある。スパッツは必ず着用、換え靴下携行。
* 全行程対面者:単独2人、1グループのテント組男女5人。
1,271mピーク付近より 白山 | 1,271mピーク → 冬瓜山 | 〃 |
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冬瓜山直前の急登 | 冬瓜山山頂のナイフリッジ | 〃 |
冬瓜山山頂からの笈ヶ岳(左)と小笈ヶ岳 | 冬瓜山山頂 → シリタカ山 | 〃 |
シリタカ山 山頂より冬瓜山 | シリタカ山 | 藪こぎと残雪歩行 |
稜線 → 笈ヶ岳 | 〃 小笈ヶ岳直下、先が笈ヶ岳 | 笈ヶ岳 山頂 |
冬瓜山からの笈ヶ岳(下山時撮影) | イワウチワ | 〃 |
イワウチワ | タムシバ(モクレン科) | 〃 |
カタクリとイワウチワ | 〃 | |
ヤマツツジ | タムシバ (モクレン科) | ヤマシャクヤク(山芍薬) (ボタン科) |
ヤマシャクヤク | 急登 | ヤマツツジ |
ニリンソウ | レンゲツツジ | カタクリの実 |
第一トンネル | 中宮展示館裏にある登山口(下山時) | |
090509 砺波のチューリップ公園散策 | 〃 風車 | 石川県歴史博物館 |
兼六園 花見橋 | 〃 カキツバタ | 〃 霞ヶ池 |
〃 霞ヶ池 | 〃 | 〃 |